鉄骨110番

溶融亜鉛めっき部分の変更について

Question

溶融亜鉛めっき仕上げ後の製品に変更が生じた場合、その製品自体を再加工後、もう一度メッキどぶ漬を行っても支障ないのでしょうか。

Answer

亜鉛めっきにおける再めっき処理を行う場合は、亜鉛層及び合金層を溶解・除去し、再び鉄部分の素地を完全に露出するまで酸洗いを行う事となります。
亜鉛めっき専門業者の方に以下のような問題点をアドバイス頂きました。
溶融亜鉛めっきの皮膜は、鋼材の錆・ミルスケールの皮膜に比べ厚いことから、酸洗いに大量の酸を必要とします。そのため以下のような問題が発生いたします。
①酸の補給コスト、廃棄する酸の産廃処理コストがかさむ。
②亜鉛を除去するのに用いた酸は濃度が落ち、「効き」が悪くなる。そのため酸洗槽を複数以上有するなど酸洗設備能力の容量に余裕のない工場は、再めっき対応が困難になる場合が考えられる。
③酸洗いには数時間から半日酸に漬けっ放しにする必要があり、製品の一部だけ酸洗いしたり再めっきすることは非常に困難である。
④品質的には鋼材表層が合金層と共に酸で削られるため、鋼材の肌があれ、1回目のめっき時と比べ、あばたになる可能性がある。
⑤酸洗いを阻害する塗料・コンクリートなどが付着している場合は、再めっきができない。
⑥めっきによる熱歪みなどの影響は、再めっきにより悪化する。
以上のような問題があることから、対応可能な専門業者を選別することや設計者と対応に関し調整することなどが重要であると考えます。