鉄骨110番

デッキ受けのPL溶接

Question

デッキ受けのPL溶接についてお聞きします。デッキの標準図にはレ形開先の溶接記号が書いてありますが、溶接長ささえ確保すれば隅肉溶接で十分なような気がします。ファブとしては、フルペネにするなら溶接長を短く、隅肉なら全長の8割程度溶接するなどさせていただきたいのですが。

Answer

標準図に示されているデッキ受けプレートの溶接は、曲げ応力が生じることで、溶接部に引張力が作用することから、引張力に対する溶接部のディテールは、完全溶け込み溶接(フルペネトレイション)とするという基本に準拠して決定されています。
実際にCO2半自動溶接によるデッキ受けプレート上面部隅肉溶接、あるいはデッキ受けプレート裏面にCO2半自動溶接によって隅肉溶接を行った場合の、受けプレート面外方向曲げ応力に対して、デッキ受けピースが溶接部で折れて破断することはないと考えます。溶接の前提条件は、CO2半自動溶接であることです。実験結果によると、隅肉溶接の裏曲げ的な状況で、デッキ受けプレートを90度以上曲げ変形させた場合でも、破断は生じない状況で加力実験は終了していました。
詳細な施工要領とその要領に沿った溶接により製作された試験体の加力実験の結果をもっと詳細に分析することが必要であり、数例の試験体の実験結果のみで、規準ディテールとして隅肉を採用することは多少無理があるといえるでしょう。デッキ受けプレートの上面の隅肉溶接を、仮設的な位置づけで定義するのであれば、その可能性はあると考えますが、本設の受け材として考える場合は、やはり規準図によることになると考えます。