鉄骨110番

スチフナープレートが入らない

Question

既設増改築の工事に、電気・ダクト等の設備をうまく避けて柱にH形鋼を取り付けたいのですが、スチフナープレートが半分ほど入らなくなります。何か代わりの良い補強方法があれば教えて頂きたいのですが。H―300×300、H―200×200等の材料を使用していて全て中ボルト指定で取り合いました。

Answer

改修工事において、柱ウェブに沿って走っている設備用幹線などは、移動が困難な場合が多く見られます。とくに、生産施設などで停電などによる生産ラインの停止は不可能といった条件は良く提示される問題です。配線等の切り回しが許されない場合でも、配管の少々の移動については配慮していただくことができるのではないかと考えます。工事の条件を言葉で表現するのみではなく、スケッチなどを利用して、より具体的に説明することをお薦めします。単に「配管を移動してほしい」では主旨が伝わりません。やはり基本は、配線部分を浮かしてでもスチフナーを通常の位置に配置できるように調整をするよう努力していただきたいところです。
調整に努力をした結果、基本的な手段が不可能となった場合は、以下のような方法を考えてはいかがでしょうか。
①仕口部を引張ボルト接合とし、柱ウェブの補強には、H形鋼のウェブにパネルゾーンの板補強の要領で補強を行ない、フランジからの応力をT形の受け材を通してウェブに応力を流し、パネルゾーンとしての応力伝達を考える。ただし、配管を多少とも浮かす必要があります。
②仕口まわりにカバープレート方式のような補強を行い、いわば角形鋼管のような形状に補強を行ない、ノンダイヤ方式の仕口形状とする。柱梁接合部の耐力評価・検討については、降伏線理論に基づく計算をすることとなりますが、ここでは省略させていただきます。
いずれにしましても、梁フランジの応力をスムーズに柱に伝達させるためには、ダイレクトに梁フランジ―柱フランジという力の流れを作るか、梁フランジ―柱ウェブ―柱フランジといった応力の伝達を考えることとなります。